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第1章 食から始める放射能対策
有機炭素による体内の放射性物質除去
広島や長崎の原爆の後遺症から生き延びた人々の中には、ご飯のおこげや焦がした味噌などを積極的に食べていた方も多かったようです。
こういった焦げはある種の炭であり、食材を構成する炭素化合物が過熱によって分解されて炭素のみが残ったものです。通常、こういった炭には栄養分がないため食物として価値がないと思われていますが、実はそうではありません。
酸素を遮断した状態でよく焼いて炭状にすると、たくさんの細かい孔ができるため、それが体内に入ると細孔に不純物を吸着してそのまま体外へ運び出してくれます。つまり、体内の掃除役をしてくれるのです。
一昔前によく知られていた民間薬の「黒焼き」は、ある種の薬効を期待して摂られていましたが、それは体内の掃除を図る一つの知恵であったのかもしれません。当時は、玄米の黒焼きはガンに、梅干の黒焼きは下痢に、昆布の黒焼きは気管支ぜんそくに効果があると考えられていたようです。
その薬効について医学的な研究はなされたことがないので、効果の実際はわかりませんが、やはり炭のような状態になるまで焼いたことには大きな意味があると考えられます。
食材に含まれる炭素は有機炭素と呼ばれ、体内に入り込んだ有害重金属や放射性物質と結合してその流動性を高め、体外への排出を促す働きがあるといわれています。
つまり、ご飯のおこげや焦がした味噌を食べていた被爆者の方々は、焦げ=有機炭素によって体内の放射性物質除去を行っていた可能性があるのです。
先ごろ、浄水場において放射性ヨウ素を除去するために活性炭を投入したことがニュースになりましたが、それと同じことを有機炭素は体内でやってくれると考えればいいでしょう。