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第1章 食から始める放射能対策
遺伝子を放射線から守るフィトケミカル
後の章で詳しくご説明しますが、放射能の害とは酸化の害でもあります。
放射性物質が発する放射線は、その強いエネルギーによって体内の水分子の結合を断ち切り、活性酸素を生み出します。そして、この活性酸素が細胞に傷害を与えてその遺伝子を傷つけるのです。
そのような体内の活性酸素を除去するには、抗酸化物質を豊富に含む野菜や果物を摂る必要があります。先ほどの例の広島で被爆した女性は、玄米のほかに山菜などもよく摂っていたそうですが、それもまた良い作用をしていたと考えられるでしょう。
野菜や果物に含まれる天然の化学物質はフィトケミカルと呼ばれ、その中には抗酸化作用を持つものが多数あります。
抗酸化作用を持つフィトケミカルには、リコピン、カプサイシン、アスタキサンチン、Α・β‐カロテン、アントシアニン、フコイダンなどがあり、玄米に含まれるフィチン酸やフェルラ酸という成分もその一つです。
野菜や果物の色はその抗酸化成分と関係しており、さまざまな色の野菜をバランスよく食べることでその成分を摂り入れることができます。次ページで紹介する表を参考にしてみてください。
こういった抗酸化成分の中には熱を加えることで損失するものもあれば、熱を加えても失われないものがあります。
たとえば、リンゴ、アプリコット、キウイ、パイナップル、かぶ、キャベツ、カリフラワー、レタス、キュウリ、タマネギ、大根……などの抗酸化成分は熱で損失し、ブラックベリー、ブルーベリー、チェリー、メロン、プラム、イチゴ、芽キャベツ、ナス、カボチャ、ほうれん草、チコリー……などの抗酸化成分は熱で損失しないとされます。これも一つの参考にしてみてください。
ガンの予防で野菜中心の食生活が推奨されるのは、その抗酸化成分のゆえですが、放射能によるガンを予防することもこれと同じだと考えればいいでしょう。
こういった話を抜きにしても、野菜や果物が健康にプラスであることは疑いようがありません。しかし、現代人のライフスタイルでは、多くの野菜や果物を摂ることが難しいというのも事実でしょう。
では、どうすればいいか?
先ほども触れたように、基本的には伝統的な和食を心掛けていただければそれでいいかと思いますが、それが難しい方には、抗酸化力や生物活性を保持したままの野菜を乾燥させた製品が最近では入手できますから、そういったものを活用してもいいでしょう。