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第4章 ゼオライトをさらに深く理解する
5.ゼオライトによる体内環境の正常化
放射能に強い体を作る
高線量の放射線を一度に浴びた場合には、皮膚や粘膜の障害や骨髄抑制などすべての人に同様の確定的な影響があるため、これを「確定的影響」と呼んでいます。
しかし、一般の方はそこまでの被曝線量に達することはないため、心配しないといけないのは「確率的影響」の方です。
これは、少量の被曝であってもそれなりのリスクがあり、被曝線量が増えていくほどに健康上の問題を生じる確率も高くなっていくというものです。
発ガンや白血病のリスクも確率的影響に当たるため、「これくらいの被曝線量であれば安全」ということが断言できず、少量の被曝線量であっても何らかの健康被害を生じる可能性があるということになります。
このような確率的影響が生じるのは、人体には個人差があるからです。
放射線は細胞やその中の遺伝子を傷つけますが、生来の体質、あるいは生活習慣から細胞や遺伝子を修復する能力が強い人は少々の被曝でも問題を生じることがないでしょう。一方、そのような修復力の弱い人は、同じ線量の被曝であっても何らかの問題を生じやすいということになるはずです。
そこで、放射能から身を守る方法としては、被曝そのものを避けること以外に、体内環境を整えて普段から体への負担を軽減しておき、いざというときの修復力を温存する、あるいは高めておくということも一つの手段として考えられます。
さらに、消化管の働きや新陳代謝の働きを良好に整えておくと、体内に入り込んだ放射性物質の自然な排出を促すことにもなるでしょう。
つまり、放射能に強い体作りをしておけば、少量の被曝におけるリスクをゼロに近づけられるということです。
抗酸化によって遺伝子を守る
ゼオライトはそのための体内環境の正常化にも一役買うと考えられます。
健康状態の向上に関しては第3章でも触れましたが、その中でも放射線障害に直接的にかかわるのはゼオライトの抗酸化作用です。
放射線は活性酸素などのフリーラジカルを発生させ、それによって遺伝子を傷つけますが、ゼオライト特有の籠状の骨格構造はその中にフリーラジカル分子を吸着させてそれを不活性な状態にします。
また、同研究会会長の佐藤氏が開発した改良型天然ゼオライトのセラミックボールで水を処理することで、酸化還元電位が50ミリボルトという非常に還元力(抗酸化作用)の強い水を作ることができるため、それを飲用することでも体内の活性酸素やフリーラジカルを消去できます。
そのようにゼオライトで抗酸化を図ることについて、同研究会の前山医師は次のような見解を持っています。
「抗酸化を図る治療にはドイツで広く行われているオゾン療法や、チェルノブイリの事故でも用いられた水素療法などがあります。しかし、手間やコストの面を考えるとゼオライトを用いる方がずっと簡便で安価に済みますし、効果の面でも申し分ありません」(前山医師)
ただし、ゼオライトの抗酸化作用については専門家から疑問の声も上がっているようです。ゼオライトは基本的には消化管内から先の血液中には入っていかないと考えられるため、全身にわたって抗酸化作用を発揮するわけではないからです。
ところが海外の医師からの報告には、ゼオライトが人体の抗酸化活性を増加させたというデータもあり、やはり何らかの形で抗酸化の働きをしていることは確かなようです。
以下に、スイスのベン・L・ファイファー博士の論文の一部を引用します。
TMAZ(ゼオライトの商品名)は強力な抗酸化作用を持つ
強力な抗酸化作用について、ゼオライトの籠状の構造にラジカル分子を吸着することで血中のフリーラジカルを低下させることをフリーラジカル分析装置(FRAS)で測定した。
テストではTMAZを経口摂取することで血中において抗酸化酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPX)そしてグルタチオンレダクターゼ(GR)の活性が増加した。
この研究では、114名のガン患者の抗酸化物質の量が平均1・23mmol/Lであったのが、1か月間、TMAZを摂取した後にはそれが42パーセント増加した。そしてフリーラジカル値は26・5パーセント低下した。(引用者注・mmol/Lは1リットル中に溶けている溶質を表す濃度の単位)
この論文に関して、同研究会の鷲巣氏は次のように説明しています。
「フリーラジカルは局所で産生され、その局所で抗酸化物質によって作用が止まってしまうはずなので、血液で運ばれて消化管内に存在するゼオライトに吸着されるとは考えにくいのは事実です。
しかしながら、この論文に見られるように、実際のガン患者において、酸化ストレスが減少して抗酸化能が増加しているという事実があることから、ゼオライトが何らかの形で、体が自分自身で作り出す抗酸化物質の産生能力を増やしているとも考えられます。ゼオライトがどのような仕組みで抗酸化力を高めているのか、その詳細は不明であり、今後の研究が待たれるところです」
消化管の正常化によって放射性物質を速やかに排出する
117ページで説明したように、ゼオライトは消化管内のあらゆる場所において、その正常な機能をサポートする形で作用していると考えられます。その一つの証明が次に紹介する動物実験の結果です。
この実験では、ゼオライトを添加したキャットフードを猫に与えたところ、糞便中の固形分が11パーセント増加しており、通常の餌と比べて消化管がより健全な状態になっていることがわかりました。
さまざまな種類の家畜でも同様の作用が確認されています。ゼオライトを飼料に混ぜると、下痢を起こさなくなり健康状態が改善することから、体重が増えていくのです。また、ニワトリの場合では卵の重量が増すという報告もあります。
人の場合でも同様の作用があり、ゼオライトを用いた下痢止めの医薬品もあります。
ゼオライトによって消化管が正常に機能すると、放射性物質の速やかな排出が期待されます。特に消化管を素通りするといわれるプルトニウムに関しては、健やかな便通の確保が重要になってくると思われます。
重金属・農薬の排出と必須ミネラルの吸収促進
一説に、約7万種類の工業化学物質が環境中に廃棄され、そのうち6万5000種類は人の健康に有害だといわれています。
そのような有害物質による体内汚染は胎児のときに始まり、ある研究によると287種類の工業化学物質が臍帯血から検出され、そのうち180種類は発ガン性物質、217種類は脳と神経系に対する毒性を持つ物質であることがわかりました。
ゼオライトによって、これらの有害な工業化学物質や重金属を体内において吸着・排出して健康状態が改善すると、被曝による悪影響も緩和できるでしょう。
再掲となりますが、ゼオライトが放射性物質や重金属などの物質をイオン交換する優先順位は次のようになります。
セシウム>ルビジウム>カリウム>アンモニウムイオン>バリウム>ストロンチウム>ナトリウム>カルシウム>鉄>アルミニウム>マグネシウム>リチウム
これらの物質が一通り排出されるのに必要な期間は1〜4週間といわれます。その後に殺虫剤や除草剤、環境ホルモンなどの排出が始まりますが、これは吸着作用によるものではなく、ゼオライトが有害物質を排出することで間接的に肝臓の負担を減らし、結果的にその解毒の働きが高まったことによるものといわれています。
また、体内に有害な重金属が高濃度に存在していると、体に必要な必須ミネラルが吸収されにくくなるため、ゼオライトによる重金属の除去は必須ミネラルの吸収促進にもつながります。必須ミネラルの吸収が改善されると必然的に健康状態も向上してくるため、これもまた被曝からのダメージ回復にプラスに働くはずです。
さらに、医療用の水準を満たすゼオライトであれば、籠状の骨格構造の中に必須ミネラルを含んでいるため、イオン交換によって体内でそれが放出されてミネラルを供給することにもなるでしょう。
114〜115ページの毛髪検査の結果では、ゼオライトの使用後に一部の有害な重金属ばかりでなく体に必要な重金属を含む必須ミネラルについても減少していることがわかりました。しかし、マウスに大量のゼオライトを投与する実験では血中の主要な必須ミネラルに変化はないため、毛髪検査における必須ミネラルの減少は一時的なものである可能性が考えられます。
このマウスの実験については、ゼオライトの安全性についての項で改めて紹介することにしましょう。
ゼオライトの抗菌・抗ウイルス作用
ゼオライトには体に悪影響のある細菌やウイルスを吸着・排出する働きがあります。
ウイルスに関しては、その構成成分(ウイルスの構造の一部)を吸着することにより、増殖を防ぐというメカニズムが考えられています。
ゼオライトが抗ウイルス作用を発揮したとみられる症例として現在までに報告されているのは、風邪やインフルエンザのほか、帯状疱疹、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、C型肝炎などであり、帯状疱疹の場合、ゼオライト投与後1〜3日で疼痛が消えて治癒に至っているという報告があります。
ただし、細菌への作用に関しては一部の専門家から疑問の声も聞かれます。「体にとって良い菌に影響を与えることなく、悪い菌だけを吸着することがありうるのか」という疑問です。
しかし、同研究会会長の佐藤氏の開発した改良型天然ゼオライトによる試験では、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、病原性大腸菌O157などのいわゆる悪玉菌を含む細菌(バクテリア)は殺菌され、いわゆる善玉菌を含む酵母や乳酸菌などには影響を与えないことが示されています。
どうして、このような違いが出るのかは現在のところよくわかっていませんが、一説に、菌の大きさがポイントではないかといわれています。
悪玉菌とされる菌にはサイズの小さいものが多く、善玉菌とされる菌に大きいものが多いことが、ゼオライトが選択的に前者に作用することに関係しているのではないか、という仮説が提示されているのです。ただし、これはあくまで仮説であり、実際のメカニズムについてはよくわかっていません。
ゼオライトの免疫調整作用
ゼオライトの抗酸化作用の項で引用した、スイスのベン・L・ファイファー博士の論文には、ゼオライトの免疫調整作用についても以下のように述べられています。
(ゼオライトには)強力な免疫調整作用があるといえる。小腸の絨毛に付着したゼオライトによって、小腸粘膜にあるリンパ組織のマクロファージが活性化される。マクロファージは侵入者に対する免疫系の第一線の防御であり、免疫サイトカイン、CD4、Bリンパ球、樹状細胞、NK細胞を活性化させる。
ゼオライトが腸管に与える刺激は、免疫の主役となるさまざまな免疫細胞を活性化させて外部から侵入した細菌やウイルス、その他の異物へ適切に応対できるように調整するということがここには書かれています。なお、マクロファージとは白血球の一つで、生体内に侵入した細菌、ウイルス等を捕食し消化する機能を持ちます。
ゼオライトによって、細菌やウイルスによる疾患が改善する背景には、このような免疫調整作用も一役買っているのでしょう。
ここで挙げてきたような、ゼオライトの持つ体内環境の正常化作用が総合的に働くことで、低線量の被曝であればそのリスクを低減させられると思われます。