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第3章 ゼオライトの応用例から、内部被曝防止の可能性を考える
合成ゼオライトには天然のものにはないメリットがある
国産のゼオライト、中でも出雲産のゼオライトはその品質において世界有数と説明しました。実際、放射性物質をはじめとする有害物質の吸着・排出能力に関しては、すばらしい特性を発揮しており、医療用としては申し分のない条件を備えています。
しかし、さまざまな研究から、合成ゼオライトにも天然のものにはないメリットがあることがわかってきました。その一つが吸着作用の性質を自在に変えられることです。
合成の場合、ゼオライトの吸着作用の要ともいえる細孔の大きさを変えたり、骨格構造の中に含む陽イオンの種類を変えたりすることで、特定の物質を選んで吸着できるというメリットがあります。たとえば、通常のゼオライトは陰イオンであるヨウ素131を吸着しませんが、骨格構造の中にカルシウムを入れた特殊なものであれば、その吸着が可能となるのです。
さらに、ゼオライト生命体応用研究会会長である佐藤一男氏の開発した合成ゼオライトの一種「改良型天然ゼオライト」には、天然ゼオライト以上に高い抗酸化作用が確認されています。
徹底した品質管理のもと、天然素材を焼成して作られた改良型天然ゼオライトで処理をした水は、高い抗酸化作用を持っており、細胞や遺伝子を傷つける原因となる、放射線が体内に生み出す活性酸素を消去してくれます。
つまり、放射性物質を吸着・排出する作用だけでなく、放射線自体から体を守る働きもしてくれるのです。
そういったことから、放射性物質の吸着作用に関しては、合成ゼオライトを天然ゼオライトと併用するのが良いといえます。
ゼオライトには、合成のものまで含めると、その骨格構造の違いにより数百種類が存在しています。合成のA型、X型、Y型、天然のモルデナイト、シャバナイトなどがその代表的なものとされています。
そのいずれも放射性物質を吸着する能力を持ちますが、周囲の(酸性・アルカリ性の程度を示す数値)の状態によってその働きに強弱が見られたり、吸着作用が働くまでに時間差があったりするので、複数を組み合わせることで、そのような作用のムラを回避して安定した効果を得られることになります。
そこで、放射能対策としてゼオライト製品を摂取する場合には、そういったところをよく考えて作られたものを選ぶべきでしょう。
では次に、医療分野へのゼオライトの活用例を見てみましょう。